Notion導入推進大臣活動報告

6日目

こんにちはNatureのSRE 黒田 (kuroda (@lamanotrama) | Twitter) です。
本業はSREですが、ここ半年間はNotion導入推進大臣を自称して、色々と活動してきたので、今日はその内容をご紹介しようと思います。

背景

そもそもなぜSREがNotion導入を行っているのかというと、一言でいえば「なりゆき」です。

NatureではもともとKibelaをナレッジ・マネジメントツールとして利用していたのですが、2021年9月ごろから一部のスタッフの間で試験的にNotionの利用が開始されました。
数ヶ月の試用で利用者からの評判が良かったので「では、全社導入するか!」という機運になったものの、コンテンツ構成や権限管理における基本ポリシー・ルールが未整備であったため、全社導入に先立ってそのあたりの策定とスムーズな導入のための旗振り役が必要と思われました。

といったことをファウンダーの塩出との1on1で話していたところ、「じゃ黒田さんやってよ。」となったわけです。なるほど。

で、自分としてもたまたまSREとしての高優先タスクが一段落したタイミングだったので、「じゃやってみっか。」となったのでした。

2021年12月🎄の活動

主にやったこと。

  1. Notion導入推進大臣を自称
  2. リサーチ
  3. 権限周りの検証
  4. キュメント・コンテンツ置き場の整備
  5. 「はじめにすること(Getting started)」 の作成とユーザーテスト
  6. 全社向けに導入会の開催

最初の月が一番色々やってますね。

Notion導入推進大臣を自称

まずは導入推進大臣を勝手に名乗りはじめました。
突然の一人タスクフォースみたいなもんで部署も役職もなかったため、なにか肩書があった方が色々動きやすかろうと思い名乗りはじめました。今では全社的に馴染んでいます (多分)。

リサーチ

次にNotionのリサーチです。なんとこの時点では自分はNotionを1ミリも触ったことがありません。
他社での導入・活用事例や書籍を読んで機能理解や運用イメージを頭の中で膨らませていきました。

他社事例としては、古巣の GMOペパボさんの記事 が大変参考になりました。*1
書籍は わかる、Notion 徹底入門 が程よい分量で管理者目線での内容が多かったため、最初に選んで正解の本でした。というか今に至るまでこれしか読んでないです。

権限まわりの検証

会社として導入するからには「便利だけどセキュリティ的にはガバガバ」というわけにはいかないため、設定によって出来ること・出来ないこと・妥協するとことを仕分けしていきました。

ドキュメント・コンテンツ置き場の整備

ここまでで、運用イメージの解像度がそれなりに高まったので、それを文書としてまとめていきました (当然Notion上に)。
主に以下のような内容をそれぞれまとめていきました。

  • 基本情報
  • 全体運用ルール
  • Membersデータベース
  • なんでもデータベース

基本情報と全体運用ルールには、今後利用開始する人が最低限知っておいてほしいNotionの用語や概念と、Natureにおける基本運用ポリシーやルールについてもまとめました。
全体ルールとしては主にセキュリティを担保するための最低限の内容のみに留め、細かいことは今後プロジェクトや部署毎に作成するRoot Page (Top level page) 毎に定めるローカルルールと自治に委ねる分散管理を基本ポリシーとしています。

また、NotionにPageを作成するときの心理的ハードルを下げるために、全スタッフの自己紹介Page置き場となる「Membersデータベース」や、全社向けの情報をTagを付けてなんでも投稿できる 「なんでもデータベース」というのも最初に用意しておきました。

なんでもデータベース

「はじめにすること」の作成とユーザーテスト

既にNotionを使っているスタッフを含めた全スタッフ向けに文字通り「はじめにすること」をまとめたベージを作成しました。
内容は、上記の全体運用ルール等のドキュメントを読んでもらうところから、自身のNotion上でのNameやアイコンの設定、自己紹介Pageの作成等です。読み物としてだけでなく、ある程度手を動かしてもらうことでNotionに少しでも慣れてもらうことを狙った内容にしています。

また、内容については先に何人かに試してもらい、フィードバックをうけてブラッシュアップを繰り返しました。

「はじめにすること」の目次

全社向けに導入会の開催

12月末頃から何度かにわけて、導入会を開催しました。
当時はたまたまコロナの緊急事態明けで出社しているスタッフも多かったため、オフィスのミーティングスペースをつかって「はじめにすること」を各自で進めてもらいつつ黒田がサポートするという形で行いました。

エンジニアと非エンジニアではウェブアプリケーションに対するリテラシーというか慣れの差があるため、周りと相談したり直ぐに推進大臣に聞ける場を用意して導入を行ったことは正解だったと感じています。

導入後のよろず相談窓口として、専用のSlackチャンネルもこのタイミングで用意しています。

2022年1月🎍の活動

主にやったこと。

  1. 日々のサポート
  2. マニュアル類の書き溜め
  3. (KibelaからNotionへの) 移行への気持ちアンケート実施
  4. 全社周知運用ルールの施行

この頃はまだ各利用者が「何が分からないのか分からない」という状態であったため、あえて勉強会等は行わずにとにかく業務の中で使って「慣れて」もらうということを意識して活動していました。

全社導入直後は当然、みなNotionの扱いに慣れていませんし、Natureにおける運用ポリシーへの理解も浅いため、各所で色々とお悩みの声が上がっていました。メンションで直接質問をくれる場合もありますが、そうではない場合もあるためSlackのキーワード通知を使うなどして、それらの声に一つ一つ回答していくという活動を行っていました。
また、よくある質問に対しては随時マニュアルを作成し、ナレッジの再利用が可能な状態を少しずつ整えていきました。

ナレッジデータベース

なお、1月の段階ではまだ試用期間という位置づけであったためKibelaとの並行運用が続いている形でした。
1月終わり頃にKibelaからの移行に対するアンケートをSlack上で行い、ネガテイブな反応が皆無であったため、改めてNotionへの移行が会社としての確定方針となりました。これによって2月以降には原則新規ドキュメントの投稿はNotionに一本化されました。

これまで全社への周知に関する作法やガイドラインが曖昧であったため、Notion上の周知用Pageを使った運用を全社ルールとして定めたのもこの頃です。

Announcement (社内報) page

2022年2月👹の活動

主にやったこと。

  1. 第1回満足度アンケートの実施
  2. 第1回勉強会 「運用理解」編の開催
  3. 第2回勉強会 「情報の探し方・追い方」編の開催

全社導入後一ヶ月強が経ったタイミングで最初の満足度アンケートをGoogle formを用いて全スタッフ向けに実施しました。任意参加ですが、すくなくとも正社員からはほぼ100%回答をいただけました。

アンケートでは満足度だけではなく、

  • 不満点
  • いいよね
  • わからないこと
  • 勉強会のテーマ募集

等も 選択肢+自由記述 で収集しました。
ここで多くの人から不満として挙げられていたのは以下のような内容です。

  • なにをどこにおけばいいのかわからない
  • 情報がさがしにくい
  • やっていいこと、いけないことが分からない

これらは日々のサポートの中でもよく聞く声でしたので、随時マニュアルの作成は行ってきましたが、改めて勉強会を使って理解度の底上げを図りました。

不満や疑問は全体運用ポリシーを理解していれば自ずと解決できるものも多いと考えていたため、まずは運用ポリシー・ルールとそうなった背景について簡略に説明したのちに、その考えをベースとして、この場合はどうなるのかというユースケース毎に検索機能の使い方も交えて解説していく流れとしました。

勉強会はGoogle Meetを使ったリモートでの任意参加としましたが、録画して今後の復習や新スタッフ用の教材としても使えるようにしています。

なお、アンケートの「いいよね」には「黒田が信用できる」という選択肢を用意しておいたのですが、これが圧倒的な選択率 86.4% (23人中) を叩きだしたことが大臣の大きなモチベーションアップにつながったことは言うまでもありません。

信用出来る男、黒田

2022年3月🎎の活動

主にやったこと。

  1. 第2回満足度アンケートの実施

勉強会の効果を確認するために、二回目のアンケートを実施しました。

結果、一回目アンケートで「わからない」とされていた事項が大きく改善されていました。黒田は勝利の雄叫びをあげました。
やはり、新しいツールの導入は放っておいてもなんとかなるというものではなく、ある程度のサポートがあってこそ成功するものだと実感しました。

ただし、満足度については一回目より極若干ですが低下という結果となってしまいました。これについては他の項目の傾向変化から相関しないので謎なのですが、慣れていくうちに「俺ら(私たち)ならもっと使いこなせる!」という欲が出てきたのだと思うことにしました (ポジティブ)。

なお、この辺で「Kibelaにある既存記事移行どうするよ?」という課題が持ち上がりましたが、待望のCorporate ITエンジニア1号である marony が入社したので、その件は華麗に丸投げしました。
明日の記事はその奮闘記となります。

2022年4月🌸の活動

  1. 第3回勉強会 「データベースの基本」編の開催
  2. 第4回勉強会 「データベースの応用 - Linked view」編の開催

二回めのアンケートで要望が多かったデータベースの勉強会を開催しました。

Notionの基本的な機能・記法については、使ってるうちに自然と慣れるだろうと思っていましたし、アンケートの結果でも実際そのような傾向となっていたので楽観していたのですが、データベースについてはちょっと仕様が込み入っていますし、特に非エンジニアに対しては概念から丁寧に解説する必要があると感じていました。*2
Notionの機能上の目玉はデータベースであり、これを使いこなせるか否かで利便性に大きな差がでてくるため、しっかりとしたドキュメント作成と長めの時間をとって勉強会を開催しました。

目次の一部

結果、その後のアンケートではまた勝利してしまいました。「データベースの概念・使い方」が分からないという回答は0になりました。0になりました (重要なことなので2回)。

2022年5月🎏の活動

  1. 第3回満足度アンケートの実施

勉強会の効果を確認するために再度アンケートを実施しました。 上述の通り、「データベースの概念・使い方」がわからないは0件となりましたし、それ以外のわからないことも初回のアンケートと比較して圧倒的に減っていることがわかります。

2月頭時点
5月頭時点

なお、肝心の満足度については実は2月からそこまでスコアが上がっていないのですが、上記の通りわからないことや不満な点が大きく減少したことの方が重要と考えています。2月の時点で十分に高い満足度であったこともあり課題とは考えていません。

まとめ

4月には導入推進大臣の頼もしいパートナーであるCorporate ITエンジニアの marory が中心となって策定された「情報ガイドライン」によって、Notionは公式に社内情報ポータルとして位置づけられました。
現在ではストック情報にとどまらず、フロー情報や社内コミュニケーションの透明性を促進するツールとしてNotionはなくてはならないものとなりました。

一旦、第3回満足度アンケートを最後に導入推進大臣としての活動は一段落とさせていただきましたが、アンケートでは不満やわからない点が完全になくなったわけではありません。人々が求める限り大臣は皆のそばに居ます。

Notion導入推進大臣 (自称) の次回作にご期待ください。
続く。


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*1:この場を借りてお礼します。ありがとう小田さん。

*2:アンケートは匿名回答で実施しましたが、自身がエンジニアであるか否かは必須回答の設問としていました。そして、その他の設問について両者の回答は明確に異なった傾向を示していました。