Nature Engineering Stories vol.1 〜企画からリリースまで1ヶ月!?電気ひっ迫予報ウィジェット開発チームインタビュー〜

電気ひっ迫予報ウィジェット開発チームインタビュー

Nature ソフトウェアエンジニアリングチームです。2022年8月4日、「Nature Remoアプリ」をアップデートし、お住まいの電力エリアの電力ひっ迫状況を確認できる「電気ひっ迫予報」ウィジェットをリリースしました。本エントリでは、電気ひっ迫予報ウィジェット開発チームにインタビューを行い、Nature の中でどのようにソフトウェア開発が行われているのか、その開発ストーリーをお伝えします。

prtimes.jp

--みなさん電気ひっ迫予報ウィジェット開発でどのような役割を果たしたか教えてください

北村 天志 / Kitamura Takashi (カスタマーサポート):
最初にDesign Doc を作るところから、スケジュールをたてたり、PdM 的な役割をしました。 途中から荒川さん*1にも入っていただいたり、役割がカオスになってしまったなぁ、と感じています。

内匠 浩平 / Takumi Kohei (ソフトウェアエンジニア):
サーバーサイドを担当しました。(これまで Nature ではモバイルアプリ開発を担当していましたが) 今回 Nature では初めてサーバーサイド開発をしました。

デロシン アルノ / Derosin Arnaud (ソフトウェアエンジニア):
主にウィジェットの開発をしました。北村さんと最初にアイデアを色々と考えたり、デザインについて考えて意見をシェアしました。

--なぜ電気ひっ迫予報ウィジェットが開発されることになったのか教えてください

北村: 電力の需給ひっ迫が非常に盛り上がっているタイミングで、関西電力様との夏の節電プロジェクト*2 でも Nature がそういうことをやっている、という認知が広がっているバックグラウンドがあり、今 Nature がこのウィジェットを出すのは意義のあることではないか、という話になりました。Nature のミッションを知ってもらいたいし、電力ひっ迫が起こっているという認識も広げたかったです。

Nature のミッション

--開発をやろうとなったのはいつ頃ですか?

北村: 7月1週目に亀田さん*3がアイデアを持ってきてくれました。7月4日のプロダクトミーティング*4で、やろう!となりました。

--リリースされたのは8月4日ですよね…?

北村: 最初に Design Doc を作ったときに、なんだこのスケジュールは、とんでもないスケジュールだな、となりました。やると決まってから、デザインを決めるまでが3日くらいしかなくて、チーム内で大変だ!となりました。

Design Doc 作成時に作られたスケジュール…

--ウィジェットとしてリリースするのは最初から決まっていたのですか?

アルノ: 当初は亀田さんの節電プロジェクトに関係するフィーチャーを作ったほうが良い、というだけでした。ここからアプリ内にするかウィジェットにするか考えました。ウィジェットなら色々なユーザーが使えるから良いと思ったのと、いつでもホーム画面にある、というのがこのフィーチャーに合っていると思いました。なのでウィジェットにする、と決めたのは後からです。

内匠: ただ、以前からアルノさんがずっとウィジェット開発の調査をしてくれていて、そのベースがあって、やっぱりウィジェットが良い、という話になったのだと思います。

北村: アプリ内に作ろうとすると UI 全体を考えないといけないのですが、ウィジェットだとウィジェットだけを考えれば良い、というのも (短期間でリリースに至る上で) 大きな理由でした。

--Nature のミッションと世の中の状況を見てチームが何を開発するか考えた形なのですね。そこに次新しいことやるために準備していたのがミートした、と。今回の開発で達成したかったゴールはなんだったのでしょうか?

北村: さっき話したことでもあるのですけど、電力ひっ迫が起こっているというニュースが取り上げられ始めた段階だったので、「Nature としても発信していきたい」、「電力需給がひっ迫しているときに節電してもらったり、違う時間帯に電気を使う、という行動を起こしてもらいたい」という思いがありました。

アルノ: 会社のイメージのためにすごく大事なこと、だと考えました。PR もウィジェットのことだけじゃなくて Nature のバックグラウンドとか含めて考えるようにしました。ウィジェットなのか、アプリ内なのか、AppleWatch なのか。どこにでも Nature のサービスがあればすごく良いですよね。(Remo を) 使っていない人も電気から Nature のユーザーになることができます。

--Remo を持っていないユーザーでも使えるようになっていますよね?

北村: 関西電力様との夏の節電プロジェクトで、Remo アカウントを持っていない人でも Nature のサービスに触れる機会がありました。そういう方々でもダウンロードさえすれば気軽に使えるように、というのがメインと思っています。

--同様の機能は他にもあると思いますが、どのような差別化を意識しましたか?

北村: 僕たちのアプリで大事にしているのはシンプルでわかりやすいということで、ウィジェットでもそのあたりの思想が反映されています。他社さんだと、需要の予測値、実際に使った量、供給されている量、の3つくらいの数字が出されていますが、結局パーセンテージを見るよね、という話をチームでして、需要量 / 供給量のパーセンテージのグラフを作ったのが大きく違うところかな、と思います。

ウィジェットのデザイン

--「電気ひっ迫予報」という名称はどのようにして決まったのですか?

北村: 一番最後に決めたんですけど、ユーザーさんに伝わりやすい言葉にしたいという意図で「電気ひっ迫予報」という名称にしました。最初は「見せる」ということが価値になるという考えから、「電力需給モニター」で行こうかとも考えていたのですが、それだとユーザーさんには伝わらないよね、となって、今の名称になりました。

Slack 上行われる名称決めの活発な議論

--今回の開発に点数をつけるなら100点満点中何点ですか?

内匠: サーバーだけでも3名のメンバーが関わってくれましたし、クライアントもアルノさんとやり取りしながらやっていて、みんなの開発としては100点だったんじゃないかな、と思います。急なアイデアだったにも関わらず、デザインも本当にリリースギリギリまで詰めて、アルノさんも意見を言うし、荒川さん北村さん亀田さんも意見を言うしで、デザインが決まったのは本当にリリースのちょっと前、というレベルの開発をやっていて、それでも1ヶ月でリリースできてのは Nature として100点だったのではないかな、と思いました。

アルノ: 最初はデッドラインが厳しくて、できるかどうか心配していました。(デッドライン) 1週間前までデザインが決まってなくて、ナーバスになっていたけど、エンジニアとデザイナーだけじゃなくて色々な人が考えを出し合ったからこそ、ユーザーに好きになってもらえるウィジェットにすることができたと思います。タスクの整理は改善できると思うけど、良かったと思います。

あと、ウィジェットは一見小さな実装に見えますが、新しいアプリケーションを開発に関わる多くのタスクがありました。デザイン上では見えないさまざまなエッジケースもあり、それも開発期間中に考えなければなりませんでした。そのため、開発としてはギリギリでした。ただ、全体としては多分70-75点くらいで、今考えると良かったと思います。最初の長い検討がなかったら、Nature っぽいウィジェットにならなかったと思います。

北村: 自分の動きだけに限定すると、20点

自分に厳しい北村さん

内匠: それはないですよ (笑

北村: 初めて (PdM的な役割を) やったというのあって、うまくできなかったなぁ、というのが正直なところです。自分が PdM という立ち位置に居たのかわかっていない状況で、PdM 的な動きをしていたのですが、7月3週目あたりで PR チームと「こういう内容でリリースしよう」という作業をしようして、やったことがなかったので進め方がわからなかったです。荒川さんに助け舟を出してもらう形になり、そこは反省点だと思っています。

内匠: 北村さんすごく謙虚で、大塚さんに slack で褒められても「なんだそれは?」みたいな感じで、もっと素直に受け止めれば良いのに、と思ったり (笑) 。デザインを話すときも kit さん*5 と英語でやり取りしていて、亀田さんもすごく褒めていて、北村さんはこのプロジェクトでキーパーソンだったな、と感じています。

アルノ: ちょっと (北村さんの自分への評価) が厳しすぎると思う。1ヶ月でゼロから初めて、すごく色々なタスクがあったけど、良かったと思う。

北村: 初めて Design Doc 書いたり、みんなで共通認識作れたのは良かったと思います。僕は PdM という役職ではないので、そういう動きはしたんですけど、途中から2人でやっていたので、そのあたりは今後どうするのが良いだろう、と。

内匠: それぞれが役割を柔軟に切り替えたり、一緒にやったりできる文化があると感じ、それは Nature の良いところだと思います。自分としては北村さんが最後の守り手だな、と思っていて、常にユーザーさんと向き合っていて、そういう面ではウィジェット開発も大丈夫だろう、という安心感がありました。

--電気ひっ迫予報ウィジェット開発の振り返りではどのような話をしましたか?

モバイルアプリ担当のアルノさん

アルノ: デッドラインがギリギリで少し怖かった、という話をしました。

内匠: 傍目で見ていても、少しアルノさんがそういった面でナーバスになっているのがわかりました。「これはいつ決まりますか?」「デッドラインはこのままですか?」と。

アルノ: 途中でデザインが少し変わるのですけど、開発としては1日かかるので…。次は PdM もより深く関われるのでより良くできると思います。全体のプロセスを最適化して、検討の時間やテストの余裕があるようにしたいです。

--リリース後の反響はどうですか?

北村: 好意的な反応が多かったです。ユーザーさんからも Nature っぽいと twitter で書いてもらえたり、PR も色んなところで取り上げてもらえて、予想外に良かったかな、と思います。ユーザーさんから Nature っぽいと思ってもらえると考えてなかったんですよね、正直。Remo の機能開発じゃないことにツッコミが来るかと予想していましたが、良い反応が多かったので良かったです。

--内匠さんはこの開発が Nature のサーバーサイドとしては初めての開発だった、ということですが印象に残っていることはありますか?

サーバーサイド担当の内匠さん

内匠: アプリとはまた文化が違うな、と思いました。アプリではまずユーザーのことを考えないといけないです。お客様がどう思われるのか、どう見えるのか、どう使われるのだろうか、というところや、小さなバグでもユーザーさんの低評価に繋がってしまうことから、サーバー側より慎重です。

リリースもサーバーのように次々リリースしているわけではないです。サーバーでは LGTM もらったらいつでもリリースしていいよ、って言われて、「え?」って思って、本番反映されるんですよね、っていうので最初はめちゃくちゃ怖かったです (笑

サーバーサイドは仕様が決まればみなさんとても速くて、どんどん作って、どんどんリリースしてます。特に参加した当時、夏の節電プロジェクトでめっちゃ大変な時だったので、そのときの雰囲気がみなさん目が据わった感じで、節電プロジェクト完成させてやるぞ!という熱狂を感じました。

最初サーバー開発に入るときも、インストラクションが丁寧なんですけど、本当に忙しい、というオーラが画面から伝わってきました。みなさん忙しいのに丁寧で助かりました。

--大変な時に静かに熱狂していたり、大変な時でも困っている人が居たら親切なのはすごくわかる気がします。

--全社ミーティングで代表の塩出さんから、Nature にとって「革新的」だった、と紹介されていましたが、ぶっちゃけどうですか?

全社ミーティングにて

内匠: 入ったばかりなので、これまでのことが全然わからないのですけど、「これぞベンチャーだ!」と思いました。普段のアプリ開発とは全然流れが違って、急にベンチャーにスイッチできるんだ、という Nature の柔軟さに感動しました。

アルノ: そんなに innovative な感覚ないですね。ただ、すごく良いと思ったのは、今まで Nature のアプリは家電操作のイメージがあったけど、今回のウィジェットはミッションとすごく合っていると思います。電力の状況がみやすくて、みんなが問題に気付けるものになっていると思います。あと、デザインは innovative だったと思います。

北村: 亀田さんが発案して、アルノさんと亀田さんと僕でアイデアを考えて、1ヶ月以内にリリースする、というのは革新的だったかもしれないです。塩出さんが書いていたことで、確かに、となったのは、Nature Remo を持っていないユーザーにも広くリーチできる、というのはすごく大きいと感じます。塩出さんが決定したわけではなく、自主的に考えて動いてリリースできたのはすごく良かったのかな、と思いました。

なぜ革新的なのか?

--今後は…

内匠: これからもどんどん機能を作っていけたらいいな、と思います。

アルノ: 同じことですけど、ウィジェットから色々広げて行きたいです。

北村: ユーザーの皆さんに便利だと思ってもらえるような機能の開発を進めたいです!ユーザーさんからの要望もたくさんいただいているので!


インタビュー、文、編集: 中林


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*1:6月入社の PdM

*2:https://nature.global/kepco_2022_summer_dr/

*3:モバイルアプリエンジニア。emacs の人

*4:プロダクト開発に関わるチームが集まって行うミーティング

*5:イギリス在住の Nature のデザイナー