Nature Remo E の新機能「エコキュートオートメーション」でどのくらい電気代は安くなるの!?徹底的にドッグフィーディングします!

ファームウェアエンジニアの中林です。新年あけましてもう2月です。

先日、Nature Remo E の新機能としてエコキュートと V2H (Vehicle to Home) のオートメーションを新しくリリースしました 🎉 今回のリリースで私は直接開発には参加していませんが、Nature Remo E デバッグハウス (通称: 我が家) の家主として、開発の初期段階からチームにフィードバックする形で関わっていました。

nature.global

今回の機能は太陽光による発電を売電ではなく、自家消費することで高騰した電気代を抑えることができる機能となっています。 しかし、実際にどのくらいお得になるのでしょうか? 自分たちで作ったものは、自分たちで使って、より良い状態でユーザー様にお届けしたい! というわけで、Nature Remo E デバッグハウスで徹底的にドッグフーディングしてみましょう。

Nature Remo E デバッグハウスで Nature Remo E に登録している家電は次の通りです。

エコキュート操作パネル (左) と HEMS アダプター (右)

また家に…穴が…

太陽光発電システムの発電量

冬に晴れている日の Nature Remo E デバッグハウスの発電量はこのような感じです。 おおよそ、11時 - 14時の間、1.8kWh ていど発電をしており、1日で 8.5kWh - 9.0kWh ほどです。

1月の発電量

エコキュート操作画面

今回のリリースではエコキュートのタンク内のお湯を沸き上げる機能を提供しています。 お湯はり機能も待ってますよ!

エコキュート操作画面

アプリから手動で操作するだけでなく、条件を満たした場合に自動的にお湯の沸き上げを開始、終了することもできます。 エコキュートが沸き上げを始めると、大体 1.1 - 1.2kW ほど消費するので、とりあえず 1kW の売電発生でトリガーするようにしています。

エコキュートオートメーション設定画面

オートメーションが発動すると通知が届きます。やったね!

エコキュートオートメーション発動の通知

ちなみに、Nature Remo E デバッグハウスでは、太陽光発電で賄えない場合は蓄電池から優先して使うので、終了条件に蓄電池の出力 W 数を入力させて欲しい、ということを開発チームにフィードバックしています*1。 今後の改善を大いに期待したいですね。

節電効果の検証

エコキュートの昼間沸き上げによる節電効果を検証するために、以下の2つの日を比較します

  1. 太陽光余剰電力でエコキュートの沸き上げができなかった日
  2. 太陽光余剰電力でエコキュートの沸き上げができた日

ややこしいですが、前日昼間にエコキュートの沸き上げができると、翌日の夜間 (AM 1:00 - AM 6:00) 沸き上げが減ります。

着目するのは、AM 1:00 - AM 6:00 までの買電量です。この時間帯に Nature Remo E デバッグハウスで動いているのは、下の家電たちです。

  • 蓄電池の充電
  • 食器洗い乾燥機
  • 炊飯器
  • エコキュートの夜間沸き上げ

それ以外はその日どのように生活したかで変わってくるので公平に比較することが難しいです。

1. 太陽光余剰電力でエコキュートの沸き上げができなかった日

前日、天気が悪くてほとんど昼間沸き上げができなったとき (2023年1月23日) のグラフがこちらです。

太陽光余剰電力でエコキュートの沸き上げが出来なかった日の電力グラフ

AM 1:00 - AM 6:00 の間、3 - 4kW の電力が消費されています。これは (ほぼ) 半分が蓄電池で、半分はエコキュートの沸き上げです。たまにぴょこぴょこハネているのが食器洗い乾燥機や炊飯器です。

特にグラフ下側の青いグラフに注目してください。これは蓄電池の充電以外で Nature Remo E デバッグハウスで消費されている電力です。AM 1:00 - AM 6:00 までがっつり電力を使っていますね。これがほとんどエコキュートの沸き上げです。

2. 太陽光余剰電力でエコキュートの沸き上げができた日

一方、昼間沸き上げできたとき (2023年1月29日) のグラフがこちらです。

太陽光余剰電力でエコキュートの沸き上げができた日の電力グラフ

AM 1:00 - AM 4:00 のグラフ下側の青いグラフが明らかに違いますね。この時間帯はエコキュートの沸き上げが行われていません。エコキュートには沸き上げ量を自動調整する機能が元々備わっているため、昼間沸き上げしておけば加減して沸き揚げをしてくれています。

ちなみに昼間どのように沸き上げできていたかと言うと、このような感じでした。太陽光発電分 (黄色いグラフ) が、ほとんど Nature Remo E デバッグハウスでの消費 (青いグラフ) に回っていることがわかりますね。

エコキュート昼間沸き上げ中のグラフ

電力データの比較

Nature Remo アプリから電力データのダウンロードができるので、もう少し詳細な数字を見てみます。 前日、天気が悪くてほとんど昼間沸き上げができなった1月23日夜間時間の買電量は次のとおりでした。

時間帯 買電量 (kWh)
total 14.7
2023012301 3.4
2023012302 3.5
2023012303 3.2
2023012304 2.8
2023012305 1.8

一方、前日にたっぷり昼間沸き上げできた1月29日の夜間時間の買電量は次のとおりでした。

時間帯 買電量 (kWh)
total 11.8
2023012901 1.6
2023012902 2.8
2023012903 3.2
2023012904 3.1
2023012905 1.1

買電量の差分は 14.7 - 11.8 = 2.9kWh です。

Nature Remo E デバッグハウスでは東京電力エナジーパートナーのスマートライフSを契約しているため、夜間 (AM 1:00 - AM 6:00) は 17.78円/kWh + 燃料費調整額 + 再エネ発電賦課金となります。 今月分を確認してみると、再エネ発電賦課金が3.45円、燃料費調整額が11.92円 (高すぎる…!) でした。 これをベースに得した金額を計算していきます。

差額は 2.9 × (17.78+11.92+3.45) = 約96円 です。 なんと、1日100円近く買電量が減っています!

しかし、前日昼間に太陽光発電の売電が減っていることを考慮する必要があります。 私の FIT 売電価格は 19 円です。 エコキュートで昼間沸き上げしていた時間は約3時間でした。 エコキュートを沸き上げていると、家庭内の消費電力が 1.1kW - 1.2kW 増えるので、ここでは、3.5kWh 昼間沸き増ししたものとして計算しましょう。

エコキュートの昼間沸き上げをしなかった場合に売電で得られたはずの収入は 3.5 x 19 = 約67円 です。

結果的に、昼間の太陽光余剰電力を沸き上げに使ったことで得した金額は 96 - 67 = 29円、ということになります。 年間100日、同様の条件で沸き上げできると仮定すると、チリツモですね。

開発の様子

開発チームではなかったので人柱としてドッグフーディングする役でした。 北原さんを遠回しに飲みに誘ったら、身もフタもない返答が返ってきてしまいました。残念。

開発中のなごやかな会話

まとめ

Nature では機能をリリースする前にできるだけ自分たちでドッグフーディングすることで、より良いプロダクトを作ろうとしています。 今回は直近リリースした Nature Remo E のエコキュートオートメーションについて Nature Remo E デバッグハウス (通称: 我が家) を使ってドッグフーディングしました。

太陽光発電の余剰分をエコキュートの昼間沸き上げに使用することで、Nature Remo E デバッグハウスの FIT 売電価格 / 契約電力プランでは、1日30円ほど電気代を得できる可能性があることがわかりました*2

あとうまく動いたけど北原さんはビールごちそうしてください。

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*1:現状、オートメーションだけだと昼休みに発電量足りないのに対応できないのでちょっと手動で操作しています

*2:厳密な比較は難しいので再現性は保証できませんが